July 13, 2006

敵基地攻撃論とか。

早くもあのミサイル乱射事件から1週間だそうで。そんなわけで、軽く北朝鮮問題について考えてみた。

なにやら、いつもトンデモ発言かましてくれる某与党幹事長はじめ何人かの方々が、敵基地攻撃論なんぞを展開してるようで。そこで3つほど素朴な疑問。

1, 宣戦布告もしないで、いきなり他の国の領土内を攻撃していいのか?
これは憲法9条以前の問題。この国は60数年前のPearl harborの過ちを繰り返す気か? あれに関しては未だにUSでは批判的に言われることが多い。ケンカするにもルールってもんがあるし、奇襲はさすがにUnfairだと思うのだが。Pearl Harborの件に関しては、米軍は日本の暗号を解読してて日本の攻撃作戦のことを知っていたという説もあるけど、そもそも宣戦布告とかそういう大切なことはちゃんと明示的に行われるべきだと思う。少なくとも相手にちゃんと伝わっているのかどうなのかアヤシイ段階で行われるべきものではない。
もちろん憲法9条の問題もある。外国に軍事行為を仕掛けるんだから、どう解釈したってそれは"武力による威嚇又は武力の行使"に当たるだろ…
かといって日本が攻撃の危険にさらされてもいいのか、という問題だが、それに関しては3を参照。

2,もし先制攻撃をしたことを理由に相手に宣戦布告されたらどうするのか?
これは、たとえば北朝鮮なら十分にあり得ることだし、別に北朝鮮に限らずいきなり攻撃されたらどこの国でも十分に起こり得ることだと思う。
どんな理由があろうとも戦争なんて俺は絶対イヤだぞ? 何があっても俺は戦争に加担する気は一切ないし、頼まれたって大金積まれたってイヤなもんはイヤだ。このBlogを読んでくださってる皆さんは分かってくれると思うけど、俺は本当の意味での愛国者を自認している。よく愛国者は"国益のためには戦争も辞さないとか"、"戦争になったらそれに協力するものだ"っていうイメージで語られがちな気がするけど、俺はそんなことをする気はさらさらない。なぜなら、単純にそんなことするのが日本のためになるとは到底思えないから。ついでに、自分たちの憲法に誇りを持っているし、だからこそよく議論になる9条とかも含めて守っていかなきゃいけないと思ってる。だって憲法は自分たちの国の信念だろ? その崇高な信念を守って次の世代に伝えていくのが自分たちの責任であり、義務であると思ってる。そういう自国の精神を愛せなかったり、誇りを持てなかったり、安易に変えてしまおうとするやつに愛国者を名乗る資格なんてない。
ちなみに、よく"第2次世界大戦は仕方なかった"の主張するやつもいるけど(特に保守・右翼っぽいやつに多い)、俺からすればそれは外交官の怠慢以外の何物でもないと思うのだが。
ちょっと脱線したが、何を言いたいかといえば安易に戦争の火種になるようなことをするなって言うことです。

3,そもそも、どうやって相手国が日本を狙ってることを確認するのか?
News見てて"もし銃口を向けられて引き金に指をかけられて…"っていうたとえを言っていたが、銃と違ってミサイルがどこを狙ってるのかなんて分からないと思うのだが。仮に百歩譲って日本の方を狙ってると分かったとしても、それが単に"日本の方角を狙ってる"のか、"日本を狙ってる"のかは断定できないと思うぞ? 安易な判断で攻撃するとすれば、それはアメリカが"大量破壊兵器があると思い込んで"行ったイラク攻撃と同じ過ちを繰り返すことになると思うのだが。そして最悪の場合、そんな事実誤認で戦争にでもなったら目も当てられない。そんな大きなリスクを犯すよりも、迎撃ミサイルで打ち落とすこと、その配備や精度改良に力を入れる方がよっぽど現実的だと思うのだが。

そりゃね、もし本当に日本がTargetにされてて、相手が仕掛ける前にそのリスクを摘み取っちゃえば安全、っていう発想自体は理解できるよ。でも、それはあまりに安直で単純な、リスクを伴う発想だと思う。でも現実世界の物事ってそんなに単純に動いてることは少ない。
某与党幹事長とか、某都知事とか、某外務大臣とか、某防衛庁長官とか、誰とは言わないが国家の中枢にそんな浅はかで単純な発想しかできない、視野の狭い人間がいるのはどうかと思うが。それ自体もそうだが、彼らの発言を疑うこともなく盲目的に信じて支持する人間が少なくないことには、むしろ危機感すら感じる。日本を戦争に巻き込む気か? 破滅させる気か??


ところで、報道ステーションでやっていたコッチェビ(北朝鮮の浮浪児)の特集を見た。これは本当に悲しく、深刻な問題だと思う。政治的、軍事的な問題で感情的になるのは分かる。でもこれとそれとは全く別次元の問題だし、日本としても無視してはいけない問題だと思う。我々に何かできることはないだろうか? ミサイル問題に端を発する経済制裁論議などで、日本全体が感情に任せて援助打ち切りとか、ともすれば北朝鮮の人々が飢えようがどうなろうが知ったこっちゃないっていう風潮になりがちだが、もっと現実に目を向けなければならない。意図的なものなのか偶然なのか、このタイミングであの番組が放送されたことは本当に良かったと思う。もちろんミサイル問題は大いに非難されるべきだが、同時に冷静な視点を失っては絶対にならない。悪いのはミサイルを発射する決定をした北朝鮮政府であって、その国民ではないのだ。彼らにはなんの罪もないのだから。このことは本来、日本は自らの経験によって十分身にしみて分かっているはずなのだが。A級戦犯と呼ばれるアホどもせいで、多くの罪もない市民が戦争に加担させられたり、命を落とした。そして、それと似たようなことが今この瞬間に隣国で起こっている。
報道ステーションの加藤千洋さんや、News23の筑紫哲也さんには本当にいつも頭が下がる。彼らはその圧倒的な経験や知識もそうだが、どんなことがあっても感情的にならずに広い視野を持って冷静に現実を見つめる視点を持っている。プロだから当たり前と言ってしまえばそれまでなのだが、彼らの言葉には本当に説得力があるし、いつも関心させられる。Journalistとはかくあるべき、というか。本当に尊敬するしそういう姿勢は見習いたいと思う。本来なら彼らのようなしっかりした人々が政治家としてこの国を引っ張っていってもらえればいいのだが。俺なんかが言うのもおこがましいが、政治家の皆さんには彼らを見習ってしっかり勉強して、日本を正しい方向へ導いていって欲しいと切に思う。

北朝鮮問題に関しては…いろいろ書きたいこともあるので時間あるときにゆっくり書きます。  

Posted by wildeagle at 01:19Comments(19)TrackBack(7)

July 08, 2006

目立たないけど気になる産経新聞の情報操作

世間はテポドン一色でほとんど気に留めてないみたいだけど、ちょっと気になったので掲載。いつものことと言えばいつものことなのだが、産経新聞が地味にやらかしてる。

Sankei Web 産経朝刊 主張(07/07 05:00)
北朝鮮のミサイルが発射されているさなかに、韓国の調査船は日本の領土である竹島の周辺で調査を強行した。

うん? "日本の領土である竹島"って…いつの間に国境線確定したんだろ? 日韓両国が竹島問題をめぐって合意に達したっていうNewsは聞いた覚えがないのだが。事実誤認なのか、意図的な情報操作なのか… まぁ日ごろの彼らの主張を聞いてれば確信犯(お、"確信犯"が本当の意味で使われてる!)な気がするが。いずれにしても正しくは"日本の主張する領土である竹島"の間違いだろ。

いやね、世の中にいろんな意見があるのはいいと思うんですよ。それこそ言論の自由だし。特にこういうデリケートな問題の場合、どちらの主張にもそれなりの根拠・合理性はあるし、同時に一定の不確かさや矛盾点、アヤシサも含んでる。特に領有権のような問題の場合、そもそも"国境"という概念自体を明確に意識するようになったのは比較的近代になってからなわけで、おそらく竹島が発見されたときはどちらか一方に属するというよりは、日韓で共有するような扱いだったんだと思う。

いずれにしても、俺のBlogみたいなしがない個人の情報源ならともかく、大手新聞社でこれはまずいでしょ。そりゃね、自国の主張を支持したい気持ちは俺だって分かるよ。韓国側も納得するようなちゃんとしたEvidenceが出て、お互い納得する形で平和的に日本の領土であることが認められるならそれが一番だと思う。でもさ、まだ決着のついてないことをあたかも事実のように報じるのは正しくないし、やっぱり事実を捻じ曲げちゃいけないでしょ。

別に韓国に肩入れする気はないし、なんか言葉尻捕らえて揚げ足取ってるようだが、こういう些細なことって何気に大切だと思う。ほんの些細なことがきっかけで大きな事件に発展することは少なくないし、そもそも日本のJournalismのレベルを高いものにするって言う意味でも見逃してはいけないことのような気がする。マスメディアというのはその力を悪用すれば国民を扇動できるだけの力を持っているし、同時にそれだけの重い責任も担っている。だからこそ、彼らは自らの記事に関してはもっと注意深く慎重になるべきだし、情報の受け手である我々もこのような記事を安易に見過ごしてはならないと思う。

まぁ、どっちかはっきりしない段階で海洋調査する韓国も韓国で、ちょっと勇み足だとは思うけどね。でも日本も同じことを数ヶ月前にしようとしたわけで、あんまり人のことは言えないが。ってか両国とも科学調査したいなら、いっそのこと学術発展のためにも共同の調査チーム組んで一緒にやったらいいと思うのだが。それならあんまり領有権とか意識しないでも済むし、日韓友好や学術交流の新たなきっかけにもなると思うんだけどねぇ〜

ちなみにせっかくの機会なので竹島問題に関しての個人的な意見。ものすごく抽象的だし、具体的に何かアイディアがあるわけではないのだが、何か今まで前例がないような画期的で建設的な手法で解決されればいいなぁ〜と思う。もっと言えば世界中にある領土問題を解決するモデルケースになるような斬新なやり方。今は靖国問題と並んで日韓間の対立の象徴のような存在になっているけど、竹島問題を逆にうまく利用して、それが日韓友好の象徴になるような、斬新な手法で解決できたらいいと思うね。たとえば日韓で共有して日韓交流の拠点にするとか。難しいのかなぁ〜もっとも、南極をめぐって領土問題が起こったりはしてないわけだから、やってできないことはないと思うけどね。今のままいがみ合ったり、どちらか一方の占有っていう結果が出てしこりを残すよりはよっぽどお互いにとってプラスになると思うよ。どうでしょうか?  
Posted by wildeagle at 00:01Comments(18)TrackBack(4)

October 26, 2005

靖国問題を考える(2)

***この記事には政治的な内容を含んでいます。さまざまな意見があると思いますが、混乱を避けるためにも、必ずPolicyをよくお読みになり、了解した上でコメントおよびお読みください***

小泉首相、靖国神社を参拝 アジア外交への影響必至
小泉首相は17日午前10時すぎ、東京・九段の靖国神社に参拝した。首相としての参拝は昨年1月以来で、5年連続5回目。同神社では同日から秋季例大祭が始まっており、首相は本殿に昇殿せず、手前の拝殿の前で礼をしてさい銭を投じた。同神社にA級戦犯がまつられていることや、憲法の政教分離原則の観点から首相の靖国参拝については内外に批判がある。とくに太平洋戦争終戦60年の今年は中国、韓国両首脳が強い懸念を繰り返し表明しており、アジア外交に影響が出ることは必至だ。


どうせまたそのうち行くんだろうなぁ〜と思ってましたが、やはり行きましたね。小泉首相の靖国神社参拝問題です。以前もこのBlogに書いたと思いますが、総理大臣とはいえ、それ以前に一日本国民なわけで、当然基本的人権である"信教の自由"は憲法によって保障されている。つまり、当然仮にも宗教施設である靖国神社を信仰して参拝しようが、来年からは気が変わってMuslimになって毎日お昼にメッカの方を向いて礼拝しようが、(まぁカメラの前でやったら特定宗教の宣伝みたいになって利益につながるので多少は問題なんだろうけど…)どうこう言われるこっちゃないといわれれば確かにその通りだ。それに、今回は先日の違憲判決の影響もあってか、礼拝作法や記帳・献花料の支払いを行わないなど、宗教色を排するようにアピールする意図・努力は感じられる。法廷では公用車の使用やSecret Serviceのことなども問題になっていたようだが、これはまぁSecurityの都合上やむをえない部分もあるだろう。全体的に見て身近に神社があって親しみのある日本の国内向けには最低限の筋は通したっていうか、一応ギリギリ納得できる形で行ったということは言えるだろう。ただしあくまでも国内向けには!

しかし一国の首相が靖国神社に参拝するという行為が現実的に、あるいは本質的な意味で果たして適切なことなのかどうかというと、それはまた別な問題というような気がする。もちろん僕自身、日本の首相が自国が当事者となった戦争で被害に遭われた一般的な戦争犠牲者を慰霊するという行為自体に異論は全くないし、むしろそれは立派なことであり歓迎すべきことだと思う。ただ、その目的のために敢えてあの"靖国神社を参拝する"という手段を取ることにはいささか疑問・違和感を感じるのだ。


まず、その大きな理由のひとつは外交的な理由だ。自国である日本国内をも含め多くの国々で靖国神社の存在意義に関して理解を得られていないと言う事実である。これは各国政府や政治家レベルのみにとどまらず、一般市民のレベルまで含めてだ。日本国内での問題に関しては後述するとして、まずは国際的な問題について書きたい。

特に反発が強いのは中国・韓国を初めとするアジア諸国である。つまり靖国神社・旧日本政府および某都知事、某与党幹事長代理、ネット右翼の方々をはじめとする一部の人々の表現を借りるならこんな感じになるのだろうか?
我らが日本軍が、"野蛮なる國であるところの米國や欧州列強諸國"から、あくまでも"亜細亜の秩序と誇りと独立のため"に遂行した"支那事変(*)""韓国の保護国化""大東亜戦争"などでお守り差し上げた國々
(*) "支那"という言葉は中国の蔑称であり本来使用されるべき言葉ではありませんが、靖国神社の公式サイトでは実際に多用されており、今回は彼らの主張を明確にするために使用させていただきました。あくまでも皮肉であり、他意はありませんのでご理解いただければと思います。
しかも頼まれてもいないのに膨大な国家予算をかけて、その目的を遂行するためのMissionに携わった多くの日本軍兵士の"地球よりも重い生命"を犠牲にしてまで。そこまでしていただくのはあまりに申し訳ないということで、1919年5月4日には北京の天安門広場で現地の若者が中心になって大規模な運動までやってくださったらしい。それはそれはなんの見返りもないのにボランティアでそこまでして差し上げたんだから日本はそれらの国からはさぞかし感謝されているんでしょうねぇ〜
ごく最近、今年の前半に主に中国で行われた"感謝集会"の様子はほかにもあります。
http://blog.odn.ne.jp/shanghai/archives/001109.html
http://blog.odn.ne.jp/shanghai/archives/001110.html
http://blog.odn.ne.jp/shanghai/archives/001111.html
http://blog.odn.ne.jp/shanghai/archives/001112.html
http://blog.odn.ne.jp/shanghai/archives/001113.html
http://blog.odn.ne.jp/shanghai/archives/001121.html
http://blog.odn.ne.jp/shanghai/archives/001122.html
http://nna.asia.ne.jp.edgesuite.net/free/tokuhou/050426_sha/image/gazou.html
他にも韓国などでも同時期に"感謝集会"は行われたようです。

くだらない皮肉はこの辺にして、靖国神社が嫌われる原因というのは今僕が書いたような彼らの独特な、もっと言えば自分勝手な歴史感・価値観によるものが大きい。彼らの極端に偏った主義・主張の詳細に関しては後述する。そして、そのことに関して被害国の方々は非常に強い不快感を抱いている。ここに反日デモに関する多数のLinkを貼ったのは、別に過激な反日デモを支持するためでもなければそれを肯定するためでもない。いくら感情を害することがあったからと言って過激な行動に出ることが正当化されるわけではないということは以前にも書いた通りである。ただ、彼らをそれだけの行動に掻き立ててしまうほどの彼らの心情、怒りというものは日本人としては当然真摯に受け止めなければならないものだろう。またアジア諸国に限らず欧米諸国においても靖国神社はしばしば"War shrine(戦争神社)"と揶揄される存在であることを皆さんはご存知だろうか?

小泉首相は参拝後の会見で以下のように発言している。
"総理大臣小泉純一郎としてではなく、一人の国民として参拝した。二度と戦争を起こしてはならないという不戦の決意で祈った。今日の日本があるのは、心ならずも戦争に行かれた方々のお陰である。アジア諸国との関係を重視し、未来志向で進めたい。"
しかし、もし特に日本に精通しているわけでもない一般的な外国人が聞いた場合、この小泉首相のコメントにどれだけの説得力があるのだろうか? 首相本人があくまで"一人の国民として参拝"したつもりでも、外から見れば一国の首相が参拝したという事実には変わりがない。"二度と戦争を起こしてはならないという不戦の決意"で、太平洋戦争を未だに"大東亜戦争"と呼んで賛美し、その戦争を首謀し公式に有罪判決を受けた人間を神として祭っている神社で祈りをささげる。"アジア諸国との関係を重視し、未来志向で進めたい"が、そのアジア諸国との関係に大きな悪影響を与えることが明らかな靖国神社参拝を国内外多くの反対・疑問の声を押し切って強行する。言ってることとやってることが違う、なんだ二枚舌じゃないかと言われても仕方ない。特に一番最初の部分、本人がいくら宗教色を排してあくまでもPrivateで参拝したと主張しても、神社に関するBackgroundを持たない人々にとっては私的か公務なのか、またその参拝形式による違いははっきり言ってどうでもいい問題であり、一番の関心は一国の首相がWar-shrine・靖国神社を参拝したのか否かという事実の一点に尽きるだろう。また公人、特に我が日本のトップである首相が前述のような特殊で偏った主義主張を標榜するあの靖国神社に参拝したと言う事実は、すなわち靖国神社の主張は日本のスタンダードであり、国家としてそれに賛同するという誤ったメッセージを世界に発信することになりかねない危険性をはらんでいる。公人の行動の影響力と言うのはそういうものなのだ。また小泉首相は来年の任期満了を持って退任する以降であることを明らかにしているが、過去に参拝した首相がいるという悪しき前例を作ることによって今後就任する首相も靖国参拝をより継続しやすい土壌を作ることにもなりかねない。

ところでフジ産経グループをはじめとして右翼・保守系の主張として、靖国問題はアジア諸国にとって日本に対する外交カードでしかないという主張がある。つまり、彼らの本音は靖国なんて実はどうでも良くて、仮に靖国問題がなかったとしてもどうせ何らかの別の口実で日本に対してクレームしてくるのだから別に気にする必要はないと言うものだ。しかし、この意見には強い違和感を覚える。確かに日本とアジア諸国との間には歴史認識の問題や領土問題を初めとする多くの問題が存在する。それは残念ながら事実だろう。しかし、多くの問題が存在するからと言って"そのうちの一つ二つ減ったところで両国の関係はそれほど改善しないのだから無視していい"という結論にはならないだろう。それはかなり早計で強引な結論である。実際問題、日本がアジア諸国との間に抱える諸問題は非常に多いし1つ2つが解決しただけでは直接的に外交関係の大幅な改善にはつながらないかもしれない。でも、その解決を図ることによって関係が悪化することはあり得ないし確実に友好的な関係に近づいていくことは事実なのだ。そしてそれらの積み重ねが大きな進歩につながる。"まさにローマは1日にしてならず"である。根気よく1つずつ解決していくことによって両国のわだかまりを取り除くことはできるはずだし、外交関係が良くなってさまざまな面で友好関係を築きあげれば、それは両国にとっての国益につながる。逆に言えばお互いに理解し合うこと、問題を解決していこうという努力することをやめてしまっては両国ともに本来得られるべき国益を損なうことになりかねないのだ。必要なのは事実・現実を直視することであって、それを無視したりもみ消したりするのはあまり建設的な姿勢ではない。
また、靖国問題があくまでも外交カード・口実に過ぎないと言う意見に関しても全体としてはイマイチ同意できない。中国や韓国の友人から聞いた話だと、残念ながら中には単に打算的な口実として靖国問題などを取り上げる、こういう言い方をすると語弊があるかもしれないがクレーマーのような人々も政治家などを含め一応存在はするらしい(そしてそれはおそらくは各国の右派の人々だと思われる。)ただそれはごく一部であり、あくまでも少数派のようだ。逆に言えば、残念ながら一部の日本の右翼・保守的な人々が考えているほどこれは形式的で楽観視できる単純な問題ではないと言うことでもある。実際、靖国や南京大虐殺や従軍慰安婦などの歴史認識に関することが問題になると韓国や中国の友人からは残念だとか、時には日本政府の不誠実な対応に対する憤りの声をいただく。無理もないだろう。戦後60年経った今でも先の第2次世界大戦を賛美してその首謀者・責任者であり公式に有罪判決を受けて処刑された人間をあろうことか神として祭ってしまう神社に首相が参拝したり、その戦争の責任をほとんど認めない事実を意図的に隠蔽した教科書が政府の審査をパスしてまかり通ってしまったりするのだから。実際に旧日本軍の侵略やそれに伴う暴挙の数々の被害を受けた国々にとっては感情的にたまったものではない。首相が何をコメントしようが過去のことを反省していないと取られても仕方のないことだ。話はそれたが、ここで一つ理解しておかなければならないことがある。それは俺自身が今のところ残念ながら首相の友人や知人でもなければ、別に政治家でも日本の政治や世論に大きな影響力を与えられるような存在でもない点、もう一つはその僕の友人達も僕と同じく特に影響力を持たない一般人であると言う点だ。つまり彼らが一日本国民に過ぎない僕に靖国参拝が感情的に傷付くことを訴えたところでせいぜい僕自身とこのBlogを読んでくださる平均100人/Dayの皆さんにしか伝わらないわけで、とても来年小泉さんが参拝を遠慮するほどの影響力は期待できないわけである。にも関わらず僕にそのようなことを言ってくる理由は何か? 長々書いてきたが結論を単純に言うと、純粋にそれが彼らの感情を大きく傷つける行為だからである。彼らだって自分の友人が住む国・日本との関係悪化は当然望まないだろうし、この手の問題が彼らにとって本当にどうでもいい問題だったら"まったく、くだらんことで日本政府にクレームつけて両国の関係を悪化させて…"とかその程度で軽く流せるものか、もしくは政府が実際の国民の感情からかけ離れた形式的な抗議をしようが僕らの間では話題にすら上らないだろう。ところが、実際の彼らの捉え方は残念ながらその程度では済まないし、もっとSeriousに考えている。アジア諸国に住む友人たちと話してみて感じるのは、彼らの多く、少なくとも僕の友人を含めた一般的な人々は決して何らかの形で日本から利益を獲得したくて靖国や歴史問題に憤っているのではなく、あくまで単純に日本が過去の過ちを真摯に受け止めていなかったり、それらについてなんら反省していないかのような態度・対応を取ったり言い逃れしようとしたり、その往生際の悪さに関して怒っているのである。もちろん日本政府の賠償が十分だったとは思わないし、慰安婦問題とか個別に見ていけばまだまだ足りていない部分や方法などにも問題はあるだろうし、そのことに関して当事者としてSeriousに怒っている人々も中にはいるだろう。しかし全体としてみると、彼らは一般的な日本人よりももっと割り切って建設的に、小泉首相の言葉を借りるなら"未来志向"に考えている。特に台湾の友人などは寛容で、"国が犯した、お前が生まれるはるか昔の過ちのことで責任を感じる必要なんてもうない"と言ってくれたりもする。(台湾にとって日本は冷戦時代、"敵である中国の敵、すなわち味方(?)"であるという発想からか、同じ日本に侵略された国々の中でもかなり日本に好意的である。中国や韓国と同じく日本の植民地としてそれなりの扱いを受けたはずなのだが…もちろん過去を気にせず水に流して友好的に接してくれるのは日本人としてこんなにありがたいことはないしその寛容さは賞賛に値するとは思うのだが、客観的に見て台湾人のIdentityの問題としてそこまで無頓着でもいいのか?という風に思わなくもない。まぁ余計なお世話だとは思うが…)
実はこの記事を書くために多少のResearchをを行い、さまざまなBlogなども読ませてもらったのだが、正直この基本的なことを理解していない人間が日本人の中に多すぎる。その事実は僕を大きく失望させたし、正直そのようなことを本気で考えている人がこの日本にいると言うことが非常に情けなくなった。もっと言えば日本の将来に関して不安を覚えざるを得なかった。このようなことを書くと"自虐史観"と批判する人も少なくない。もちろん必要以上に卑屈になる必要はないが、過去の自国の過ち・事実に目を向け、その被害に実際に遭われた方々の声に耳に傾けることは国際社会一員として共存し、生きていく中で必要不可欠なことだし、それは自虐史観を持つこととは明らかに一線を画すものだ。過去の過ちを直視し、被害国の感情や声を真摯に受け止めてきちんと反省することは決して恥ずべきことではないし、それを今後にフィードバックしていくことは日本がまともな国であり続けるために、日本人が日本人であることにプライドとIdentityを持って胸を張って世界をリードしていくために必要不可欠なものである。むしろ事実から目をそらして自分勝手な理論を押し通し、過去の責任から言い逃れをして過去の過ちを正当化しようとする態度を取ることははたから見れば往生際が悪くてみっともないし、日本人の尊厳を損ないかねない非常識な恥ずべき愚行だ。過去の過ちを振り返らないことが"未来志向"ではない。日本には古くからサムライ精神と言うものがある。過ちを犯したら素直に罪を認め、場合によってはハラキリという形で自分の命を犠牲にすることで潔く責任を取った。この考え方は今現在でも世界中で多くの人々の共感を得ている。今のこの近代社会で命まで犠牲にして責任を取れとは言わないが、過ちを犯したときは素直に認め、潔く責任を取る、反省し謝罪するという古き良き日本の伝統・精神というのは現代でも守り続けるべきものではないだろうか? 別に僕はサムライが特別好きなわけでも詳しいわけでもなんでもないが、日本政府の外交姿勢、特にアジア諸国に対するものを見ていると、日本人はその伝統的な美しい心を失ってしまっているんではないかと思うときがある。

ところで、外交関係の悪化や国内世論の強い反発というリスクを取ってまで小泉さんが靖国を参拝する理由は一体何なのだろうか? もっと言えば、それを通じて日本がリスクを取るに値するどのような利益を得たのか? 遺族会が軟化した今、強硬に靖国参拝を支持する団体はもはやほぼ存在しないと言っても過言ではないだろう。考えれば考えるほど理解に苦しむのである。TVで小泉さんの盟友である加藤紘一氏が、4年前に小泉さんが鹿児島かどこかのカミカゼに関するミュージアムを見学して感銘を受け、靖国参拝を決めたと話していたが、リスクの大きさを考えるとどうしても"個人的な信条"だけでは決め手としては十分ではない。日本は言うまでもなく国際社会の一員である。さまざまな面でお互いに持ちつ持たれつの関係で成り立っている。諸外国との友好的な関係と言うのは日本にも相手国にも国益をもたらし共に発展する鍵となる。そのために、お互いに友好・信頼関係を築き深めるために外交官を筆頭に民間まで含めて日々両国の多くの人々が尽力しているし、実際に長い年月をかけて友好関係を築きあげてきた。その多大なる苦労を小泉さんのわずか5分程度の靖国神社参拝で無にしてまで、我々日本が得たものは一体何なのだろう? また関係国と取引関係のある企業も大小問わず少なくないし、それらの企業では株価を初め大きな損害を被ったところも少なくないはずだ。さまざまなところで悪影響が出たに違いない。本当に理解に苦しむ。小泉首相はじめ"みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会"に所属する102人の背信議員の方々にはぜひ真剣に考えてもらいたい。と同時に、自国の国益を守るために彼らを躊躇させるだけのプレッシャーをかけられなかった国民・国内世論も反省する必要があるだろう。

米NYタイムズ紙、靖国参拝は「無意味な挑発」
米紙ニューヨーク・タイムズは18日付の社説で"無意味な挑発"(日本語訳:http://blog.goo.ne.jp/beach_girl/es/2a37531bb054d82418bca1011dbd5272)と題し、小泉首相が靖国神社参拝によって「日本の軍国主義の最悪の伝統を容認した」と厳しく批判した。
Globalな視点から見た一般的な靖国参拝の評価は、このNew York Timesの記事が的確に表していると思う。まさに言い得て妙だ。結局のところ、日本国内でどれだけ合理的な大義名分があろうとも、一歩日本の外に出ればその感じ方は国々によってさまざまだし、特に靖国問題に関してはまず好意的には受け止められない。これは理屈ではないのだ。小泉さんにいかなる素晴らしい意図があろうとも、たとえばそれが仮に本当に純粋に戦争被害者の方々を追悼する目的であったとしても、それを説明したところで海外から見ればなかなかそのようには受け止められない。外交というのは相手がいて始めて成り立つものなのだ。最も重要なのは、相手国にとってどう受け取られるかであって、こちら側の意図ではない。相手の受け取り方がダイレクトに結果につながってくる。小泉さんがいくら参拝することに関して悪意がなかったとしても、気を使ったつもりでいても、相手国の人々の感情を実際に傷つけているという事実がある以上、それは一国の首相・トップとしては私的な行動であったとしてもふさわしいものではないし、自分の立場をわきまえた上で自粛するべきだと思う。彼が靖国に参拝することによって相手国の心情を著しく害し、外交関係を悪化させると言うのは彼自身容易に予想できたに違いない。確信犯としてそれを実行したというのは道義的な意味で問題だし、国際協調に相反する隣人に対する非常識な嫌がらせだ。相手がイヤだとはっきり言っている以上、それに配慮し相手の感情を最大限尊重することは国のトップに立つリーダーとして当然求められる感覚であり、また万一それに反することが起こった場合にはっきり"No!"という意思表示をすることが国民の責任だろう。それを責任を果たさないばかりか、ややもやすればむしろ国益を損ないかねない行為を支持する声が少なからず存在することに日本の国民の危うさを感じる。

最後に、今回関係が悪化してしまった国との友好・信頼関係の回復に向けて一言。
日本がさまざまな国、とりわけごく近い隣国の国々との間に数々の外交問題を抱えているのは非常に残念なことである。しかも南京大虐殺や従軍慰安婦強制連行事件はじめ、その多くは20世紀前半にわが国日本が行った侵略行為という愚行・暴挙に起因するものがほとんどだ。さらに悪いことに、その過去を変えることは今となってはできない。しかし、その状況の中にも希望はある。それは過去は変えられないが、過去から学んで今後に活かすことはできるし、未来は我々の手で作り上げていくことができると言うことだ。昔の傍若無人な加害国・日本の国民である僕が言うのも虫が良すぎるかもしれないが、お互い努力すれば過去の遺恨はいつか水に流せる日が来ると信じている。そして、それはせめて自分が生きている間であってほしいと切に願う。
過去にどんなにひどいことをしたとしても、それを悔い改めれて今後の行いに活かし、真摯な態度で接すれば、相手は必要以上にその過去に執着したり強硬な姿勢を取ったりすることは絶対にない。なぜなら相手も我々と"心"を持った同じ人の子だからである。文化や習慣の違いから時には行き違いにあったにせよ、心を込めて平身低頭謝っているのに"ふざけるな!"といってさらにブン殴る、というような真似をするわけがないのだ。
特に中国・台湾・韓国はいずれの国の人々も非常に情に厚く、義理堅く、それぞれ素晴らしい国民性を持った国々だ。それは俺の経験から断言できる。こういう言い方は良くないかもしれないが、相手が偶然にも彼らだったと言うことは日本にとっては今後に向けてと言う意味では良かったのかもしれない。彼らは筋の通らないことに関しては非常に、徹底的に厳しいが、逆に筋さえ通せば非常に良くしてくれる。その辺の意識は日本人よりもよっぽどしっかりしてるし、見習うべきことだと思う。特に中国や台湾などの中華文化圏では、何かしてもらったらそれ以上のものをもって恩に報いるという常識が本当に浸透している。それは華僑の人々が日本を含め世界中で活躍している秘訣であろう。
よく、中国に対する日本のODAなどに言及して"彼らは日本にたかっている"と批判する人々がいる。しかし、それは本質を捉えていないと思う。僕が思うに、彼らは日本が時折見せる過去を真摯に捉えない態度に怒っているのであって、それを金銭など形式的なもので解決しようとする日本の姑息なやり方が彼らの怒りにさらに油を注いでるように思える。つまり噛み合っていないと言うか、日本のやり方が彼らが本当に期待しているものではないのだ。彼らは恐らく、形式だけの謝罪とか賠償なんてこれっぽっちも求めていないだろう。現に日本のODAは膨大な額に上るにもかかわらず、彼らにそこまで感謝されてはいないらしい。それを踏まえて"日本はもうすでにこれだけやったのだから…"という議論を始めると、永久に両国は噛み合わないままだろう。そのことに日本人はいい加減に気付くべきだ。
戦後60年、日本人がまだ日本人としての尊厳を持っているなら、古き良き日本が誇るサムライ精神を一かけらでも持っているなら、今こそ自らを真摯に見つめ、考えて見る必要があるのかもしれない。相手も心を持った人間である以上、誠意は絶対に伝わる。本当に心からの誠意をもて接すれば、彼らは全てを水に流してくれるかもしれない。それは十分にやって見る価値のあることだ。そのとき彼らは強力な日本のパートナーして日本を応援してくれるだろう。そうなったとき、初めて日本にとっての太平洋戦争が終わるのかもしれない。

P.S.長文お読みいただきありがとうございます。様々な意見あると思いますが、皆さんの応援、批判などのコメントいただければ幸いです。考える余地のあるものについてはできる限り今後にフィードバックしていきたいと思います。次回は靖国の国内的な問題に関して書きます。お楽しみに!  
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May 25, 2005

靖国問題について考える(1)

なんだかなぁ〜という感じですね。毎年恒例の靖国問題。ってか、敗戦以来ずっともめてるんだから、いい加減対策考えろと言いたくもなる。

まぁそれはさておき、この問題に関しての個人的な感想。小泉さんが靖国神社を参拝することは彼の勝手といえば勝手だとは思う。彼だって首相である以前に一個人であるわけだし、当然の権利として思想や信教の自由が認められるべきである。ちなみに内政干渉云々とかいう議論もあるみたいだけど、もし国策として行くならばそれは政教分離の原則に反するのでそれはまずい。ただ、一個人で行く場合には日本人も含めて誰にも文句言われる筋合いはない。ただし、これはあくまでも原則論。
いくら"一個人として参拝"するのであってもやっぱり日本のトップであることには変わりないし、傍から見れば紛らわしいの事実。何だかんだいってマスコミもトップニュースで取り上げるしね。そういう現実を考えると、やっぱり少なくとも首相やってる間は参拝を自粛するべきだと思う。何もわざわざ周辺国を刺激して事態をややこしくするようなことしなくてもいいでしょう…そういう意味で、首相に限らず公職者の参拝は感心しませんね。
もちろん一部犯罪者を除いて、不幸にも多くの罪もない一般市民が"戦争"というこれ以上ない馬鹿げた国策の犠牲になったのは事実だし、彼らに対して敬意を示すのは大切なことだとは思う。しかし現実的に考えて、参拝することによって自民党が遺族会から多少票を稼げるようになること以外に何を得られるというのか? どう考えたって参拝することによって失うものの方が大きい。だったら何も嫌がらせをするような真似をしなくても良いではないか?

呉儀副首相のドタキャン問題についてはさすがにちょっとRudeというか、いくらなんでもちょっとやりすぎ。ってか、靖国問題が理由ならそれはそうではっきり本人に言えばいいことだし、小泉さんは小泉さんで自分の信念持ってるならそれをはっきり説明すればいい。まぁ個人的に話したからって何か変わるとは思えないけど、何もドタキャンすることはないと思う。
ただ我々日本人が考えなきゃいけないのは、彼らは靖国問題に対してそれだけSeriousに嫌がってるってこと。そのことはやっぱり真剣に受け止めなければならないと思う。

ところでひとつどうしても理解できないのは、なんで靖国神社に犯罪者を祭り上げたのだろう?? 常識として明らかにおかしいと思うのだが…例えば今の日本でオウム事件の犯人をどこかの神社なり寺なりに祭り上げたら批判が集中すると思う。でも靖国神社は太平洋戦争という一大国家犯罪に加担した犯罪者も祭り上げているわけで、それと同じようなことをしているわけである。当時批判などはなかったのだろうか?? 靖国神社のOfficial siteのQ&Aいわく、"事変や戦争に尊い生命をささげられた、たくさんの方々が靖国神社の神さまとして祀られてい"るそうだが、自分の意思とは関係なく国策に巻き込まれて亡くなった人々はともかく、いくらなんでもちゃんとした裁判やって有罪・死刑になった犯罪者を神様扱いするのは明らかに常軌を逸していると言えるだろう。一体どこからそんな発想が出てきたのやら、首を傾げたくなるばかりである…  
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April 24, 2005

いい流れかも?

軍部系メディア:「過激な行為は愛国ではない」 - livedoor ニュース
軍部系の「解放日報」が、4月16日の上海デモを目撃した「読者」からの意見として、「過激な行為は愛国ではない」と題した記事を掲載している。「デモ自体には興味はあったが、自身の目で見て、心を痛めた」とし、過激な行動に対する批判的な「読者の意見」を掲載した。これは、暗に、人民解放軍系の見解として、過激な行動に対する批判とみなしてよいもの。

<中略>

その「読者」の見解によれば、「数日間、周りの人と議論し、この手紙(「解放日報」編集部宛の今回の見解)を書くことを決めた」とし、「日本の一部右翼分子の歴史を歪曲し、中国人民の感情を損なうという間違ったやり方に対して、批判はすべきだが、その抗議の表現方法について、法を遵守し、理知的に、文明的に、秩序だってすべきだ」という。

 「感情は理性では代替できず、妥当ではない感情の表現は、理知的なものに害をなし、良好な表現に対する反意となる」、「デモの一部参加者による投石などの行為に心を痛めた」、「私が見るところ、彼らの行為は、日中友好という大局を壊すものであり、我が国の改革発展の良い環境を壊すものであり、人民群集の根本利益を壊すものであり、中華民族のイメージを損なうものだ」。

いい流れになってきたのかなぁ〜という気がします。彼らも自分たちの主張は主張として、自分たちの行動にPrideを持てる形で冷静に訴えてほしいですね。正しいことを言っていてもやり方を間違えば相手には伝わらないし、自分たちの印象をも悪化させてしまうし、何一ついいことはない。
日本の一部右翼分子の歴史を歪曲し、中国人民の感情を損なうという間違ったやり方に対して、批判はすべき
ところで、この部分に関して日本人はもっと反省するべきなのかなぁ〜という風には思います。このBlogのcommentでもちょっと右翼気味なものもいただきましたが、たとえば歴史上の事実を歪曲してもみ消したり、今までに何回も謝ったからもういいだろうというような態度は個人的にはあまり感心できません。歴史事実に関しても、僕が実際に中国に行った際に見たものから推測するに、正確な被害者数は別問題としても南京大虐殺が実際に起こってしまった"史実"であることを推測するのは難くないし、仮に百歩譲って南京大虐殺自体はなかったとしてもそれに類似する凄惨なことが行われていたのは疑いようのない事実。以前にこのBlogでも書きましたが、これは僕自身が実際に盧溝橋の資料館で目にしてきたものなので間違いありません。後先考えずに脚色を含めて自分たちに有利になるような理論を展開する北朝鮮のような国ならともかく、まさかあれが全て偽造・捏造だということはできないでしょう。そんなことをして日本人の対中感情を悪化させて日中友好に水をさすようなことしたって日本にとっても彼らにとっても何も得るものはないわけですから。南京大虐殺や慰安婦問題をはじめ、日本が中国や韓国で行った残虐な行為を認めないのは、例えて言うならちょうど広島・長崎をアメリカ政府が"事実ではない"と言っているのと同じことだと思います。もし合衆国大統領がOfficialな見解としてそんなことを言い始めたら、怒らない日本人はいないでしょう?
お互いに自分たちの主張をすることは確かに大切なことですが、次の段階として相手の主張を理解することが今求められているように思います(っていうか、本当はもっと昔にやるべきことなのですが…) どちらも何の根拠もなくお互いの主張を繰り返してるわけでもないでしょうから(しかも半世紀以上も!)、たとえ相手と主張が違ってもそれを真っ向から否定するのではなく、双方の可能性を視野に入れつつ学術研究や政治的対話を進めていってほしいと思います。  
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April 18, 2005

歴史認識の一致を目指すための提言

引き続き多くのアクセス、皆さんありがとうございます。
先週末も中国各地では日系施設に対する破壊行為を含む抗議デモが怒ってしまったようですね… 非常に残念です。中国の国内法がどうなっているかは知りませんが、僕個人は彼らにも人権として言論の自由はあると思うし、自分たちの主義主張を訴えるためのデモ活動そのものは問題ないと思います。ただ、それがエスカレートして破壊活動に及ぶのは別問題。これはいかなる理由があろうとも正当化することはできません。また、日本でも中国大使館や中国系の学校に対しての嫌がらせ行為などする動きが出てきているようです。こういう事件のときにはいつも思うのですが、お互いもっと冷静な行動をしてほしいですね。そんな嫌がらせや破壊行為をしたところで誰の利益にもならないだけでなく、問題を余計にややこしくして事態を悪化させていることに気がついてほしいです。ごく一部の心ない人たちのせいでお互いのイメージを悪くさせていることにいい加減気付いてもらいたいです。中国では最近"愛国無罪"という言葉が多用されているようですが、そのような間違った愛国心、それをすることによって自分の国に誇りを持てなくなるような行為はやはり慎むべきです。罪のない人々を傷つける行為はいかなる理由があろうとも、決して誰かに誇れるものではないのですから。

ところで、いつまでも現状を嘆いていても仕方ないので、なんだかんだ言って多くの問題の原因になっている歴史認識の問題に関して、少し提言があります。たぶん、この問題がなんとかなれば多くの問題が多少は解決に近づくように思うので…
先日、小泉首相は教科書問題で韓国や中国の反応に対してCommentを求められて、"彼らは彼ら、日本は日本で違った主張がありますから…"というようなことをおっしゃっていました。これを聞いて僕はフッと思ったわけです。"いかなる歴史上の事件でも真実はひとつ"ではないか、と。つまり、同じ事件が起こってもそれを伝える人間によって感じ方や表現は違うだろうし、それに思想や主張が加味されて今日の歴史認識の食い違いにつながったと思うのです。ですから、まず最初にそのFactをはっきりさせることが重要だと思います。

たとえば、日中韓台など(北朝鮮も?)各国の専門家を集めて政治とは完全に独立した調査チームを結成する。そしてそのチームの研究発表を参加国共通の認識、OfficialなFactとして扱い、それに基づいて教科書などを作成する。これならどの国も納得した共通の歴史認識を持っているわけですから、教科書問題などでもめることはかなり少なくなると思います。多くの優秀な研究者が集まればより真実に近づけるでしょうし、極めて民主的なProcessだと思いませんか? 学術的にも大変意味のあることだと思います。そして、その結果導き出されたFactは真摯に受け止め、過ちがあればしっかりとした形で関係国に対して謝罪すべきです。確かに"非を認める"というのは、特に国家間などの大きなレベルになると、非常に勇気の要ることです。しかし、過去を清算するということは"周辺国との真の友好"という目的のためには避けては通れない道だと思います。そもそも、最近某都知事をはじめ"愛国心が云々"ともっともらしいことを語る"エライ"方々がいらっしゃいますが、過去の過ちに対してきちんとした形で謝罪ひとつできないような国家に対して誰がPrideを持つことができるでしょうか? 国として他国に誇れるような態度を取っていれば"愛国心"というのは自ずと人々の心の中に育っていくものだと思います。むしろ、これは"教育"という名の元に人々に植え付けていく類のものではないと思うので。
小泉首相にも単に"違った主張があるから"などとと言って問題を先延ばしにするだけでなく、その溝を埋めるための実効的なアクションを起こしてほしいと個人的には思います。郵政改革法案その他でお忙しいのはお察しいたしますが…

ちなみに、"愛国心"などという言葉を使うと右傾化しているように思われるかもしれませんが、一応中立的な立場で書いてるつもりです。念のため。  
Posted by wildeagle at 20:47Comments(14)TrackBack(42)

April 17, 2005

Daily Johnny @ 4/17

今日も相変わらずこのBlogへのアクセス数多いですね。みなさんありがとうございます。皆さんに寄せていただいた多くのコメントは本当に勉強になります。ただ、あまりにも多くのコメントが寄せられるので、一つ一つに回答できないのが大変申し訳ないですm(_ _)m
実はあのEssay, 何か自分の信念に基づいてというよりも単純に日本人含めバカげたことやってるやつ、考えてるやつが多いのに妙に腹立って、勢いに任せて勢いで書き上げたものだったのですが…まさかあんなに反応があるとは本当にビックリです。そこで、当初はあまり深入りするつもりはなかったのですが、せっかくこれだけの多くの人々に意見をいただけ、本当に些細な力かもしれないけど日本と諸外国の友好に貢献できればと思い、これからもこのTopicは扱っていこうと思っています。最終的には政治的に解決しなければいけない問題だとは思いますが、"政治"にはできないこと、こういう小さな個人レベルでしかできないActionというのもあると思うし、そういう小さなものが集まれば大きな力となり、各国の関係を動かしていければと思います。私のこのつたないBlogが、日本と各国の理解と友好のきっかけになれれば幸いです。  
Posted by wildeagle at 18:18Comments(2)TrackBack(3)

April 16, 2005

昨日の記事に関して

昨日の記事に対しての反響が予想以上に大きい…アクセスログを見ると、この記事を書いている時点でVisitorが700弱、Page viewで1,200弱までいってます。予想外のあまりの反響に、正直驚いております。高校時代からWeb作成は断続的にやってましたけど、こんなことは初めて。みなさんありがとうございます。やっぱり反響があるとやりがいがあるしうれしいね。
ところでその内容に関してなんですが、やはりいろんな意見がありますね。最近の事件に対しても"悲しい、残念"という意見がある一方で、怒りを覚える人もいる。積極的に関係を改善していきたいという人もいれば、彼らとはうまくやれないという悲観的な見方をしている人もいる。歴史認識に関しても人によってまちまちですね。改めて複雑な問題なんだなぁ〜と思います。
歴史的なことに関して、特に南京大虐殺に関してはここでもさまざまな意見が出ていますが、これに関して僕の見解。正直言って戦時中のことに関しては混乱していて詳細までは分からないんじゃないかなぁ〜と思います。捏造とか、被害者数が人口よりも多かったとか、証拠がないとかいう意見もありましたけど、証拠がなかったから史実自体がなかったというのは乱暴な結論だし、数字的に多少の誤差こそあるかもしれませんが盧溝橋の"抗日博物館"で見た資料などを思い出して推測してみるに、全く史実自体が存在しなかったとは考えられないような気がします。"火のないところに煙は立たない"って言いますし、全くのでっちあげだったらここまで問題になることもないでしょうから。ただ、はっきりしないことを安易に"でっちあげ"と決め付けてかかるのは多少違和感を感じます。そのような態度は彼らの神経を逆なでするものだし、あまり良くないことだという風には感じました。もちろん彼らが言っていることが全て正しいとまでは言わないし、日本が主張していることが事実であるならばはっきり主張するべきですが。まぁ僕は歴史に関してはかなり苦手だったことで知られているくらいですし、昨日も書きましたが専門家でもないのであくまでも推測に過ぎませんけど。
いずれにしてもこの問題は、特に中国との間においては"政令経熱"とよく言われるように、政治的な問題を先延ばしにしてきた歪、ツケが今出てきているのかなぁ〜という気がします。昨年のプロ野球再編問題ではありませんが、今回の反日デモ事件は、それだけを見れば明るいニュースではありませんが、逆に考えればお互いを理解すること・長年の問題の根本的な解決に取り組む大きなきっかけになり得ると思います。この際膿を全部出し切って、日本にとっても彼らにとっても良い関係を築けたらいいですよね。

P.S.昨日の記事でTrack backを送信する際に、Server errorが出て何度かやり直しているうちに、同じ記事に何度か複数回TBを送信してしまったようです。該当する方々にはご迷惑をおかけしました。  
Posted by wildeagle at 04:48Comments(6)TrackBack(2)

April 15, 2005

対日デモについて

最近、中国や韓国などの日本の周りの国々での対日感情が悪化しているらしい。教科書問題や竹島などの領土問題に端を発しているらしいが、中国とは政治的にはともかく経済的には最近かなり結びつきが強まってきてるし、韓国とも昨年の日本での"冬ソナ"ブームを始め近年日本の音楽などが韓国で解禁になるなど交流が盛んになってきているだけに、非常に残念である。個人的には韓国には先月行ったばかりだし、中韓ともに大親友のJennifer @ 天津を始め友人が多いので本当に複雑な気分だ。
はっきり言って竹島が日本に属するのか韓国に属するのかは僕にはよく分からない。尖閣諸島も同じ。どっちもちょうど両国の中間らへんにあるわけだし、素人考えで推測するにそこの住人はどっちの国とも適当に付き合ってきただろうし、両国もさかのぼれば国境なんて意識せずに都合のいいように利用してきたんだろうから。簡単に言えば俺は専門家じゃないから知らんし、やっぱりどっちの側に立ってもそれなりの根拠は成り立つDelicateな問題なんだろうからそれに関してここで論ずるつもりもない。っていうか、これはたぶん"正解のない"類の問題だし、だから主張はあっても答えは誰にも分からない問題なんだと思う。
話を戻す。日本に対する抗議デモとかのニュースを見ていての率直な感想は、"なんかどっちも大人げないなぁ〜"ってこと。わざわざ他の国を刺激するようなこと教科書に書く日本も日本だし、それにいちいち過剰反応する彼らも彼ら。どっちもどっちだね。昔のことに関してはいろんなこと言う人がいるけど、俺個人はやっぱり日本が間違ってたと思う。南京大虐殺や従軍慰安婦問題、韓国併合に代表されるような侵略行為はどうやったって正当化することはできないし、彼らのIdentityを侵すようなことをしたって言う事実は、 一日本人として本当に恥ずかしく思ってる。もちろん俺自身がその時代を生きていたわけではないし、俺にどうにかできた問題ではないけど。でも高校の修学旅行で北京に行って、盧溝橋行った時はほんとにショックだった。ただ、お互いにもう変えられない過去の事実に固執するよりも、もっと前向きに将来のこと考えられたらなぁ〜と思う。日本人の俺が言うのもおかしいのかもしれないけど中国や韓国の人にはもっと前向きなこと考えてほしい。日本政府も過去の過ちは過ちできちんと謝罪するべきだしね。どこの国だって一度くらいは過ち犯している。ドイツはユダヤ人を大量虐殺したし、アメリカは日本に核兵器を使った。(Holocaustのことはともかく、広島や長崎に原爆が落ちなければさらに戦争が長引いてより多くの戦死者が出ていただろうし、そのことを考慮すると旧日本政府を降伏させるために必要な、当時は被害を最小限にとどめるための必要悪というか、まだマシな選択だっただろうっていう考えに基づいたものであることは分かってる。たぶんそれは事実だし。でも核兵器の使用自体が人道的に正当な手段だとは絶対に思わないし、それはUSの大きな過ちだったと思う。) でもそういうことにいつまでもとらわれてたら何も進展しないからね。日本のことが好きかどうかなんて個人の問題だし、それに関してどうこう言うつもりもない。日本が嫌いだから日本製品を買わないって言うんだったらそれは彼なり彼女なりの勝手だ。彼ら個人の主張や信条に基づいてデモをやってくれたって構わない。ただ、日本が嫌いだからという理由で何の罪もない一日本人を襲撃したり、大使館や日系の施設(商店etc.)を破壊するのはどうかと思う。彼らは歴史的な問題とは全く無関係だし、そんなことをしても誰にも何の利益にもならない。
あとこれは日本人に対してだけど、最近の暴徒のニュースを見て、彼らに対して過剰反応してほしくないということ。ニュースとかを見る限りだと全ての中国や韓国の人が日本のことを嫌っているような印象を受けがちだけど、実際あんな馬鹿げたモラルに欠けることをしているのはほんの一部の人々に過ぎないし、日本に対して興味・関心を持ってくれてる外国人の人々は本当に多い。俺の友人にもたくさんいる。彼らに対して変な偏見は持たないで欲しい。
たぶんこのBlogは日本人だけじゃなくて、俺の友人も含めて日本語が分かる外国人の人々も読んでるだろうことは分かってるし、地域や国籍を問わずできるだけ多くの人々に読んでもらいたい。だから今日は少しSeriousなことを書きました。俺が言いたいの過去にとらわれるよりも、それはそれとしてもっと未来に向けて前向きに考えていきたいって言うこと。過去に起こってしまった事実はどうやったって変えることはできない。でも、未来はこれからの俺たち次第でどうにでも築き上げていくことができる。その方がよっぽど建設的だと思いませんか?
Love & peaceの精神で、みんなが幸せな世界を作っていこうよ!  
Posted by wildeagle at 05:11Comments(77)TrackBack(91)